トルクリミッターとは、設定以上の動力伝達を瞬時に遮断し部品の破損を防止する過負荷防止装置です。
例えば、モーターによる駆動伝達時に出力側の異常で回転出来なくなった場合にトルクリミッターが動力遮断すれば、モーターは回転し続けることが出来、焼き付きによる破損を回避出来ます。
モーターの仕様が十分高くて出力側の部品が壊れるような懸念がある場合にも、トルクリミッターの設定トルクを出力部品の許容トルク以下に設定することで破損を防止出来ます。
出力側のトルクが設定トルク未満まで下がるとすぐに遮断状態から伝達状態に復帰します。
トルクリミッターは幅広い用途で使用されていますが、TOKの扱うトルクリミッターは主に紙幣や用紙の重送防止目的でご活用いただいています。
TOKの扱うトルクリミッターは幅広い用途で使用されていますが、主に紙幣や用紙の重送防止目的でご活用いただいています。
TOKトルクリミッターのラインナップと特長
TOKはバネ式とマグネット式のトルクリミッターを製品カタログに掲載している、国内唯一のメーカーです。
マグネット式はトルク発生源が非接触なので、高速回転に対応し、高寿命です。
一方でバネ式は、摩擦抵抗を利用している為、マグネット式を使用する程ではない、中低速の用途に適しています。
お客様の用途や使用条件に合わせて製品を選定していただけます。
トルクリミッター バネ式
トルクリミッター バネ式 構造
コイルスプリング式(バネ式)はハウジング、スライダ、スリーブ、コイルスプリング、キャップで構成されています。
コイルスプリングにスリーブが圧入されており、スプリング両端のフックは、ハウジング内部に当接するので、ハウジングと相対回転しない状態です。
この状態でスリーブが回転すると、バネのフック部を介してハウジングを回転させようとします。
設定トルクよりも低いトルクを伝達しようとするときは、ハウジングを回転させて、出力側を動かすことができますが、設定トルク以上のトルクを伝達しようとすると、スリーブを締め付けているコイルスプリングが緩み、摩擦抵抗を持ちながらスリーブだけが回転します。
バネ式トルクリミッターのトルク発生原理は、この摩擦抵抗によって構築されています。
トルクリミッター バネ式 動作原理
トルクリミッター マグネット式
トルクリミッター マグネット式 構造
マグネット式トルクリミッターはスリーブ、マグネット、ヒスリング、ハウジング、ブッシュ、スライダー、Oリング、ストッパの部品で構成されています。Oリングはスリーブとマグネットとのガタツキ防止として用い、ストッパはスリーブとマグネットとの回り止めとして機能するので、接着剤を一切使わずにスリーブとマグネットが一体になっています。ハウジングとブッシュは半硬質磁性体(ヒスリング)と一体になっており、マグネットと相対回転出来る状態になっています。
トルク発生源は、永久磁石と半硬質磁性体(ヒスリング)によるヒステリシスカップリングです。
永久磁石は、N極、S極が交互に並んだ極異方着磁をしており、半硬質磁性体は、いわゆる弱い磁石です。半硬質磁性体は、非接触状態で挿入された永久磁石によって磁化されるため、永久磁石のN極に対向する部分はS極になり、永久磁石のS極に対向する部分はN極になります。
この状態で永久磁石を回転させると、永久磁石と半硬質磁性体は全周で磁力が反発しあう状態となり、この反発力より低いトルクでは動力を伝達します。
しかし、伝達トルクが高くなると、磁石の反発力が負けてしまうため、永久磁石が半硬質磁性体の磁極を変えながら回転し、その結果、動力を遮断した状態となります。
トルクリミッター マグネット式 動作原理
〇安全機構としての使用の場合
電動シャッター、ベルトコンベアー、搬送装置
例えば、ベルトコンベアーに何かが巻き込まれた場合に、トルクリミッターを使用することにより、モーターは動き続けますが、ベルトコンベアーは瞬時に停止することができます。
〇紙送りや重送防止として使用する場合
複合機、カードリーダー、OCR(高速スキャナ)、プリンター、コピー機
複合機やプリンターを使用する際、トルクリミッターを使用する事により、用紙が重複して送られる事を防止します。
〇テンション張り、巻き取り装置
包装機、分包機、ラベルプリンター
ラベルプリンターはラベルを印刷したり、送りだしたりする際にトルクリミッターを使用する事によって巻き取り用紙のテンションがかかった状態を維持することができます。
技術サポート情報には、他にもトルクリミッターの詳しい使い方や仕組みを説明した記事がございますので、そちらも是非ご覧ください。
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